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■でっち上げ
「チクショウ」真っ二つにした馬券をゴミ箱に叩くように捨てた慶介は、すっかり軽くなった財布にわずかばかり残った電車賃を見て、大きく顔を歪めた。
帰る後ろ姿は覇気はなく、がっくりと落とした肩からはギャンブラーの哀愁が漂っている。
初めのころは競走馬のにおいと、コースを駆ける蹄の音に男のロマンを感じていた慶介も今では、みるみる増えた馬券負債のせいで、ギャンブルで一攫千金をつかむことが男のロマンであると信じて疑わなくなっていた。
負けたことなどすぐに忘れ、競馬新聞を広げ予想するたびに、体中を脳から出たアドレナリンが駆け巡る。それは、競走馬がゴール板を駆け抜けた瞬間にクライマックスを迎え、馬券が的中しようものなら自分が神にでもなったようにさえ感じる。一度このアドレナリンを体験した馬キチは2度と忘れることができず、週末になると、どこからともなく工面した金を握り締め自然と足が競馬場に向くものだ。
いつものように、キヨスクでスポーツ新聞を買うと電車に乗り込んだ慶介の目に、全面広告が飛び込んできた。 |
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