『無印激走馬』を調教欄で見分けてニンマリ!
■3秒で生き返る即効ポイント
調教タイムの速い、遅いに惑わされてはダメ、ダメ。
■解説
信頼のおける競馬専門紙等を長いこと見ていると、ふと気づくことがある。調教やパドックで調子良く見えた人気薄の競走馬が、『無印激走馬』として穴馬券を演出することが結構多いことに・・・。まったく予想もつかない決着になることもあるけれど、波乱のレースを仕留めるためのポイントは『調教の良し悪しを見分ける』ことなんだな〜。
よしやるか〜って、競馬新聞を思いっきり広げて調教タイムの分析をなんてことをすると失敗しちゃいますよ。だって、専門紙によっては同じ競走馬でも一秒違っていたりすることもあるんですから。
競走馬にバーコードをつけて計測する坂路を除いて、調教時計は人間がストップウォッチで測っているため相当あいまいだし、馬場状態、乗り役の体重、調教の強さ等もバラバラですから、横で比較してもほとんど意味がないこと見落としていませんか?
ではどこを見ると良いのでしょうか?オッズは配当を確認するほかに、競馬関係者の思惑を読み取ったり、一般の競馬ファンの思考の偏りから勝ち馬を読み取ることができます。調教からもこれと同じようなことを読み取るために、調教メニューとローテーションに注目します。
競走馬のトレーニングはすべて心拍数を低くする、簡単に言うならば『強い心臓』を作るために行われます。残念ながら、心拍数が低い=強い競走馬という関係は科学的に証明できませんが、心拍数が大きい(悪い)競走馬は、レースで走らないということは科学的なデータが証明してくれます。
トレーニングを開始するとその強度に合わせて心臓がバクバクいい出しますね。血液は肺から心臓、心臓から毛細血管、毛細血管から心臓そしてまた肺へと循環しています。トレーニングがハードになると筋肉が必要とする酸素量が増えるので、心臓は筋肉へ酸素を供給するためにバクン、バクンと血液を懸命に送り出します。トレーニングによって心肺機能が鍛えられてくると心臓は一回の拍動で多くの血液を送り出せるようになるので、以前よりも低い心拍数で筋肉が必要とする酸素を供給できるようになります。
体の細胞が必要な血液量というのはどの競走馬でも同じであり、心拍数が低ければ心拍数が高い場合に比べて余裕が生まれるため、心臓が一拍するときに送り出す血液の量を多くするためにトレーニングをするんですね。
スポーツ科学的な観点から調教メニューとローテーションを見ることが私の方法です。心拍数を指標にする運動理論にマフェトン理論というのがありますが、競走馬も生物であるので同じ理論が適用できると考えます。ただし、実際の生産やトレーニングの現場ではほとんど生かされていないというのが実状ですけど・・・。
ざっと説明してみましょう。
筋肉はアネロビック筋(瞬発力に優れた速筋)とエアロビック筋(持続力に優れた遅筋)を使った運動の2種類の筋繊維が混じり合ってできていて、それぞれ運動時には別々のエネルギー源を必要としています。前者のアネロビック筋は血液中の糖分や筋肉に貯蔵してあるグリコーゲンをエネルギー源にし、エアロビック筋は体内の脂肪を燃焼させてエネルギーを発生させます。
アネロビック筋による運動は、運動の強さを次第に増しある限度を越えると、肺から取り込んだ酸素の供給だけでは追いつかなくなり、無酸素下でエネルギーを作る状態へと変わります。この状態は、酸素を必要とせずに糖分やグリコーゲンをエネルギーに変換できるので無酸素運動といいます。ちなみに全力疾走時にグリコーゲンは数十秒で無くなってしまうそうです。
また、糖を分解するときに、酸素が十分でないと乳酸という排出しにくい疲労物質がつくりだされるので、血液や組織が酸性に傾き、細胞の働きが十分でなくなります。痛みやだるさを感じ、筋肉が収縮しにくくなり、最終的には運動を続けることができなくなるので長時間運動できません。もちろんこの運動を続けているとアネロビック筋が発達します。この筋肉は血液中のグリコーゲンを効率よくエネルギーに変換して一時的に大きな力を発揮します。また、赤色のミオグロビン(筋肉内に酸素を貯蔵する器官)が少ないと白く見えるので白筋とも呼びます。
⇒アネロビック筋=速筋線維=白筋=無酸素運動=瞬発的なスポーツ種目
これに対してエアロビック筋による運動は、呼吸で取り込んだ酸素と脂肪を反応させることでエネルギーに変換するので有酸素運動といいます。脂肪を燃焼させるのは、それほど変換効率が高いものではないので一時的に大きな力を出すことは出来ませんが、反応時は2酸化炭素と水になって体外へ排出されるので、老廃物が体内に蓄積しないため疲れにくく、長時間にわたって運動を続けることが出来ます。この運動では脂肪を燃焼させるために効率のいい筋肉(エアロビック筋)が発達しますが、筋肉はそれほど太くなりません。また、血中のヘモグロビンから供給される酸素をたくわえているミオグロビンやチトクロームなどのタンパク質が多く、これらのタンパク質はヘモグロビンと同様に赤い色をしているため、赤筋と呼ばれます。
⇒エアロビック筋=遅筋線維=赤筋=有酸素運動=持久的なスポーツ種目
赤筋は酸素を取り入れて繰り返し運動をするので、そのためのミオグロビンと言う筋肉色素が多く、酸素を使うためのミトコンドリアと言う細胞装置や毛細血管が発達しているので赤い。魚ではこの差が顕著である。マグロやカツオのように外洋を長く泳ぎ回る魚の身は赤く、ひらめやタイのように近海を泳ぐ魚の身は白い。